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【コラム】今の時代のブランドとは?(ブランディングについて語るvol.1)

今の時代のブランドとは?

ブランドの歴史から考える

“ブランド”の語源にはいろいろな説があると言われてますが、
よく言われているのが、古い時代に自分が所有して放牧している家畜に焼印を押し、他人の家畜と区別していた風習があり、「焼印をつける」と意味する古ノルド語の“brandr”や古代ケルト語の“brandor”に由来していると言われています。または英語の“burned”から派生しているとも言われていますが、
いずれも、この「焼印」=「識別のための印」が“ブランド(brand)”の語源になっています。

ブランドの変化を見る

このように、ブランドとは自らの所有物であることを証明するもの、つまり「これ、私のモノです!」と周りに分かってもらうためだけのものでした。
そこからブランドは品質保証や出所表示など、生産者を識別するためのものになりました。つまり「これ、私たちが作ったモノです!」と他者が作ったモノと分けるために用いられていたのです。そして近年では、そのモノだけの「価値」を示し、競合との差別化を図るため、つまり「これ、他のと違いますよ!」と社会にその価値を約束するためのものになりました。
これによって、“ブランド”は信用・信頼の証となり、消費者がモノを買うときの判断基準に大きく影響することとなりました。
Appleというブランドだからこのパソコンを買った、といったような経験は誰にでもあると思います。このとき、Appleというブランドは、ただ他のパソコンと区別するためのものではなく、消費者にApple製品であるという信頼を生むものとなっています。

現代のブランドを考える

ブランドは所有権を示す「証明型」から生産者を識別する「識別型」、そして競合との差別化をする「差別化型」とその意味を大きく変えてきました。
この「差別化型」のブランドは、世の中に物があふれ、インターネットにより様々な情報が入り混じるようになった情報社会の中、情報をキャッチする側に“他との違い”を示すことに有効的でした。しかし現代、誰もが情報の受信者で誰もが情報の発信者に容易になれてしまう社会では、もはや差別化することで生き残ることのできるブランドは限られてしまいます。
差別化のためのブランドは「競合」という目に見える敵と勝負しなければなりません。この勝負は非情なもので、とくに機能的な差別化において小が大に勝てることはまずありません。たとえ差別化に成功しても、大はそれをいとも簡単に上回る差別化をしてきます。差別化で勝ちたいならまず大きくなれ!です。
しかしそんな簡単に大きくなれるのなら誰だって苦労しません。
なので、まず差別化することから頭を切り離してみてください。そしてブランドの価値が解決できるであろう課題に目を向けてください。視点を「競合」から「社会」に変えるだけです。まずはそれで勝負から逃れられます。
そして社会の課題解決のためのブランドは共感を呼び、同時に味方を作っていきます。つまり敵と勝負はせずに勝つ、ということです。こちらの“克つ”の方が合ってるかもしれません。これが現代のブランドです。

小さな会社が目指すべきブランド像

このブランドのことを「課題解決型」…とは呼びません。
私はこれを「主人公型」と呼んでいます。
課題解決のために、味方を作り周りを巻き込んでいく様は、自分(自社)を主人公とした物語を演出していくことだからです。また、周りの共感してくれている人たちも、自分を主人公としてそのブランドを応援してくれます。言い方は悪いかもしれませんが、応援している自分に酔っている状態です。SNSなどでの拡散なんかはいい例です。

このような状態を作れるブランドにするために必要なことは
①社会にとっての存在意義を明確にすること
②ブランドの価値を細分化すること
③コミュニティをつくること
大きく分けてこの3つです。
これらは次回以降に詳しく掘り下げていきたいと思います。

この「主人公型」のブランドは間違いなく、小規模事業者や個人事業主のような小さな会社が今の時代に目指すべきブランド像だと思います。


記/ブランド・プランナー 下野 護


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